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【企画概要】   


 昨今の学校教育における図画工作・美術科は時間的・物理的な要因から閉塞的な状況にあります。具体的にはゆとり教育からの転換、専門教員数の減少、授業時間の削減等がそれに当たります。このような状況下において、豊かな創造性及び心情を育むことを目的とする美術科はもはや学校の中だけに留まらず、広く社会に開かれた場と繋がり、児童生徒に新しい視点をもたらすことが必要でしょう。他方で近年、アーティストと一般の人々が恊働で作品を制作する「コミュニティー・アート」という形態がみられるようになってきました。これまでアーティストが一人で作品を作り上げることが常識と考えられてきたアートの世界ですが、この形態をとることでより多くの人が作品に関わることとなり、アートを通じたコミュニケーションが生まれます。その結果、アーティスト、そして一般の人々にとっても新しいアートの価値を見出すことに繋がると考えられます。

 このような背景の下、2009年に国営公園夢プラン公募採択イベントとして「森林公園アートフェスタ2009」を開催いたしました。アートフェスタでは特にテーマを設けず作品の形態や形式も制限しませんでしたが、上記の美術教育の現状を打開したいと考える美術教育関係者や、アートを通じて社会とつながることを模索するアーティスト、更にアートに触れる環境が充分に整っていない子ども、高齢者、障害のある方々など、多様な立場の人々が制作した作品が、共存する場をつくりだすことを目的としました。そのため一般の人々が行きかう国営公園の野外を会場とし、期間中にワークショップなどを併せて催すことで、美術に関心の少ない人や、苦手意識を抱いてしまっている人々の、心のバリアを払拭することを目指しました。

 以後四年間同会場での開催の結果として、アーティスト、小学生、中学生、高校生、大学生、福祉施設利用者などが制作した20数作品展示と、4つのワークショップ及び関連イベントを行うことができました。また、公園主催のイベントである「もみじ紅葉み見ナイト」とコラボレーションしたため、約二ヶ月間の期間中、累計約22万人の来場者があり、多くの人が作品を見たり、触れたり、共に作品制作に携わったりと、様々な関わりが起こりました。特に2010年には、国営公園夢プランチャレンジ部門で最優秀賞を獲得するなど、内外から高い評価を得ています。さらに、2012年には参加学校の生徒による交流イベント「アートセッション」を行い、アートプロジェクトにおける美術教育の可能性を見出すことが出来ました。このことは、本展のようなアートのあり方が現在の社会のニーズに合致したと捉えても良いのではないか、と考えられます。ただし一方で、内容的な形骸化は否めず、来場者や参加団体の固定化など、様々な課題を抱えていることも事実です。

 そこで今年度は、会場を「国営武蔵丘陵森林公園」から「埼玉県こども動物自然公園」へと移し、内容も多様な人々が参加しやすい共同制作のプロジェクトを提案します。このことにより新たな参加者層を拡大し、より充実した活動の展開を目指します。さらにワークショップやアートセッションなどコミュニケーションに重点を置いたイベントを数多く開催することで、コミュニティー・アートの現場として、来場者が気軽に参加できる環境を整えます。なお、会期終了後には展覧会報告書としてカタログを作成し、参加アーティスト、学校団体等関係機関に配布し、成果の共有をはかります。
 本展覧会によって、アートを通じて地域、教育、福祉といった様々な分野が連携し、参加した人々の心に残る豊かな場を創出することを目指していきたいと考えております。                  
                                             アートフェスタ実行委員会